立春に始まり、春分、夏至、秋分、冬至等を経て大寒で終わる「二十四節気(にじゅうしせっき)」。これらをさらに三つの候、初候、次候、末候にわけたのが「七十二候(しちじゅうにこう)」。二十四節気の「気」と七十二候の「候」を合わせたものが「気候」の語源と言われています。
立冬 次候 地始凍(ちはじめてこおる)
11月12~16日頃がこの候。大地が凍る。つまり、霜や霜柱ができる時期、ということですが、朝晩は少し寒いが、まだまだ昼間は温かいですね。というか、私事ですが、10月末まで箱根にいて、11月から地元の横浜に帰ってきたので、季節が数週間戻ったようです。向こうは本当に寒かった。
まあ、前にも書いたが、この七十二候、もともとは中国から渡ってきて、江戸時代に日本に合わせて改定されています。つまり旧暦の頃に作られているので、やはり若干のずれはあります。
さて「七五三」です。本来は旧暦の11月15日に行なわれていました。その日は二十八宿(にじゅうはっしゅく。これについて書くと物凄く長く難しいのですが、すごーーーく簡単に言うとインド発祥中国経由でこの国に来た占星術の一つ)の鬼宿日(きしゅくにち。鬼が宿で休んで出てこない日)で、えー、収穫も終えたその月の十五夜(満月の夜)にその感謝と子供の成長の感謝を込めて加護を祈るようになったと。その初めが、徳川五代将軍綱吉の長男のために行なわれた、という説があります。
で、なぜ「七五三」なのかというと、三歳は「髪置き」といい、江戸時代、主に女の子は三歳まで髪を剃る習慣があり、それを終えるための儀式のため。五歳は「袴着」といい、男の子が袴を着始めるための儀式。七歳は「帯解き(紐解き)」といい、女の子が付紐の着物から大人と同じ広い帯を着けるようになるための儀式。つまり、七、五、三はそれぞれ別々の儀式であり、三歳と七歳は女の子、五歳が男の子の儀式である、というわけです。
で、長生きを願う「千歳飴」は江戸時代、浅草寺の境内で売られたのが始まりと言われています。まあ、所説ありますが、食べ物の元祖って、そんなもんですよね。元祖カツカレーを謳っている店を僕は三つほど知っています。
さあ、得意な食べ物の話にいきましょう。ほうれん草の話。これも一年中売っていますが、冬の方が甘味も栄養価も高いのです。ビタミンCは夏の三倍くらいあるそうですよ。味では分からないんですけど。ここで栄養素を並べはしませんが、中でも貴重なのが鉄分ですね。意外と摂れる植物は少ないのです。で、その吸収率を上げるためにはタンパク質と一緒に食べましょう。まあ、言われなくて、だいたいそう食べますよね。でも、おひたしも食べたいですけど・・・。
昔、ほうれん草を生で食べるとガンになる。なんて言われていたけど、それってうちだけでしょうか。焦げたものとかもそう言われていました。まあ、要するに食べるな、って事でしょうけど。調べてみれば、たしかに毒素はあるんですが、相当量食べない限り何の問題もないそうです。僕が若いころに初めて飲食店でバイトをした店でほうれん草のサラダを出していて、物凄く抵抗感がありました。子供の頃に植え付けられたイメージってやっぱり強いです。今ではサラダほうれん草なんてのも売っていますねスプラウトとか。僕の好きな農家さんで朝採ってすぐのほうれん草を生で食べた時は、違和感を抱くほどに甘くて驚いた記憶があります。砂糖でもかかっているんじゃないかと思うくらいに甘かったのです。鮮度の良さによるものでしょうけど、僕の子供の頃より品種改良が進んでいていろんな野菜が食べやすくなっているというのも事実ですね。前にも書いたけど。
ところで、「ほうれん草のおひたし」ってどう作りますか。たまに茹でたほうれん草に醤油かけておひたし、ってのがありますが「いやいや、それ、浸してねーし。ただの茹でほうれん草じゃないか」と思ったりします。僕は少しの塩でさっと茹でて、軽く水分を絞り、しばらく醤油につけておきます。いわゆる「塩抜き」ですが、茹でた時の塩分を醤油の塩分で抜き、味を入れます(浸透圧の仕事ですが、まあ、これについては今後ちょっと書いていこうかなと思っています)。で、また醤油を軽く絞り、食べやすい大きさにカットしてかつお出汁に浸します。すぐ食べてもいいですが、しばらく漬けた方が味が馴染みます。で、かつお節をかけて完成。醤油はいりません。この作り方が一番美味しいと思います。優しい出汁の香りと品の良い醤油の味、何よりほうれん草の青さがふわりと口の中に広がります。他の葉物野菜で作る時も同じです。あー、でも、ほんだしやら出汁の素的なものは論外です。きちんと昆布とかつお節で出汁をひいてくださいね。